本会と日本道徳教育学会は、我が国の道徳教育の復興・推進という共通の目的を有しており、共通の会員も多いことから、道徳教育に関する研究を共同で行うこととなり、平成20年度から24年度までの5年計画で、「修身教育の研究」をテーマとした共同研究を実施しました。
研究論文募集の目的 | 本会は、内閣府所管(公益法人制度改革に伴い、平成23年度に文部科学省から内閣府へ所管変更)の公益社団法人であり、百数十年の歴史を有する我が国で最も古い道徳振興団体であります。会祖の西村茂樹は、明治6年(1873)に森有礼、福沢諭吉、西周、中村正直、津田真道、箕作秋坪、加藤弘之らの賢人たちとともに「明六社」を設立し、『明六雑誌』を発行して開化思想、自由思想の啓蒙運動を精力的に展開いたしましたが、明治9年3月には、国民道義の向上を目指すとともに国家社会の基礎を強固にするための道徳教化団体として「東京脩身学社」を創設いたしました。これが、現在の日本弘道会の前身であります。その間、文部大書記官として初期の文部行政に参画、また、編輯局長として『小学修身訓』を著わすなど教科書の編纂にも力を尽くしており、その後、宮中顧問官、華族女学校長、明治天皇の侍講などの要職を歴任しております。 明治20年には、『日本道徳論』を公にして、当時西欧の模倣と追従に終始していた社会の風潮と政治の在り方に警鐘を打ち鳴らし、時の内閣総理大臣伊藤博文の逆鱗に触れたことは広く知られているところであります。なお、この『日本道徳論』の他にも多数の著作、訳述書があり、その専門分野が広範囲にわたっていることが近年明らかにされつつあります。西村茂樹は、明治26年、宮中顧問官を除くすべての官職を辞して野に下り、全国を行脚して、道義国家の建設のために社会道徳の必要性を説いた思想家であり、哲学者であります。 戦後教育の中では西村茂樹が目指した道徳教育は行われず、そのためか人心の退廃、道徳の衰退は目を覆うものがあり、憂慮されております。いまこそ西村茂樹の業績が見直され、再評価されるべきものと考えます。 本事業は、去る昭和61年(1986)に本会が創立110周年を迎えた際に、記念事業の一環として創設され、以来継続して募集を行い大きな成果を挙げておりますが、本年度も引き続き、西村思想の継承、普及を図り、併せて西村茂樹研究を志す学者、研究者の拡大を目指して、「西村茂樹研究論文」の募集を行うものであります。 |
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募集対象者 (近代史、近代思想史、 倫理学、道徳教育、経済史等の 研究に携わっている研究者) |
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応募規定 |
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論文の審査 |
公益社団法人日本弘道会内に設けた論文審査委員会の審査を経て、入選論文1編、佳作論文3編を決定する。
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著作権 | 入選論文の著作権は、公益社団法人日本弘道会に帰属する。 |
結果の発表と奨励金 |
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その他 |
A.西村茂樹全集1・2・3巻 昭和51年8月:泊翁叢書明治42・45年刊行を復刻 B.小学修身訓・読書次第(西村茂樹著片山精一解説)昭和61年11月 C.図説日本弘道会110年 昭和61年 D.日本道徳論(西村茂樹著吉田熊次解説 昭和62年5月拡大復刻 E.日本弘道会百十年史 平成8年9月 F.泊翁語録(西村茂樹著古川哲史編) 平成8年10月 G.品格の原点―今なぜ日本道徳論なのか(尾田幸雄現代語訳)平成22年10月 H.日本道徳論を読むー西村茂樹の思想と行動(鈴木勲著)平成26年4月
*研究論文を提出する場合はこの全集を活用されることをお勧めします。 内容
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